秋田県では、ひきこもりの問題が顕在化しており、特に中高年層を中心に長期化の傾向が強まっています。令和2年度の調査によると、15歳〜64歳の県民でひきこもり状態にある人は約987人とされており、その中でも40代が最も多く26.1%、次いで30代が22.5%を占めています。原因としては、疾病や性格的な要因、就労経験のつまずき、不登校、家庭環境の問題などが挙げられており、5年以上にわたる長期のひきこもりが60%を超える深刻な実態が見られます。

生活実態としては、大半が親や兄弟との同居で、収入も家族の年金や給与に依存しており、支援機関とつながっている人は15.2%にとどまります。このような背景から、孤立状態が固定化しやすい状況にあることがうかがえます。

県内では「ひきこもり相談支援センター」などの機関を通じた支援が進められていますが、相談の多くは家族経由であり、本人からの直接的な相談は少ないのが現状です。人との関係性への不安や自己肯定感の低下が、支援へのアクセスを困難にしていると考えられます。

一方で、藤里町のように、地域と福祉機関が連携し、実態調査や就労支援を通じて再出発をサポートする取り組みも始まっています。こうした地域主導の取り組みは、当事者の社会参加や生きがい創出につながり、地域社会の活性化にも貢献しています。

秋田県におけるひきこもりの課題は、単に個人の問題としてではなく、地域や家族との関係性の中で包括的に捉え、丁寧な伴走型の支援を継続していく必要があります。

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